Doll‥ ~愛を知るとき
「愛波、誰が来てもドアを開けちゃいけないって言ったよな。覚えてる?」
軽く息を乱して、樹は仰向けになった。
「あ‥、そうだった。ごめんなさい‥。」
七匹の仔山羊みたい。
ドアを開けちゃいけなかったんだ。
「もう誰が来ても開けない。いい?」
「うん。」
物覚えが悪いのは頭を強く打ってるせいだって、樹は言っていた。
きっと、入院する前のことだ。
今までにも、繰り返し言われないと忘れちゃうことが何度かあった。
あたしを見つめる樹の目は、優しい。
あたしは、その目を見ていた。
「引っ越すか‥。オレらも。」
呟いて、樹は体を起こした。