Doll‥ ~愛を知るとき


夕飯を済ませた後、樹は海に連れて行ってくれた。

岩場に立ち、夜の海を眺める。

真っ暗な海の向こうに、灯台の灯りが見えた。


夜に聴く波の音は哀しい。

樹に肩を抱かれて、その音に耳を傾けていた。


ここは、いつも生臭い匂いがする。

鳥が運んで来た魚の残骸が、あちらこちらに落ちているから。

この匂いが嫌い。

だから、不安になるのかもしれない。


「愛波、帰ろ‥。」

「うん。」

樹が持っている懐中電灯で足元を照らし、階段に向かった。

「おいで、愛波。」

階段を上りきった所で、樹は あたしをオブった。


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