Doll‥ ~愛を知るとき


「エナ‥。」


振り向くと、愛翔の手を引いて歌穂が立っていた。


「大丈夫?」


気遣ってくれる歌穂に頷いて、ネックレスを首に掛け、涙目で微笑んだ。


強くならなきゃ‥

樹が教えてくれた、『愛』と『優しさ』と『理性』

大切なものが、あたしの中には生きているから‥



「ママ、だっこぉ!」


待ちくたびれた愛翔が、あたしに手を伸ばす。


「おいで。」


愛翔を抱いて見上げた空は、とても青くて‥。

眩い光が、あたし達を照らしていた。


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