Doll‥ ~愛を知るとき


託児所付きの工場は、ハローワークで見付けた。

平日の朝九時から夕方五時までを、あたしは そこで働いている。


「あーくん。ママ、お仕事して来るね。」

「あかんっ!」


朝の五分間、必ず託児所の玄関で愛翔は愚図る。

まだ新しい環境を、完全には受け入れることが出来ていないのかもしれない。


「あーくんも、いく!」

「来るの?ママと一緒に、お仕事する?」

「うん!」

「そっか。じゃ、も少しお兄ちゃんになったら手伝ってくれる?」

「ちっちゃいから?」

「そう。まだ、あーくんはちっちゃいから、お友達と遊ぼうね。」

「イヤやぁ!」


愛翔の顔が泣き顔になった。


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