Doll‥ ~愛を知るとき


見兼ねた保育士さんが愛翔を抱き上げる。


「ママに、いってらっしゃいって言おうね。」


そう言って、泣き出す愛翔を宥めてくれる。

毎日、その繰り返し。

けれど、あたしは以前のような苛つきを感じたりしない。

ワガママを言って泣いている、その姿さえも愛しい。

ストレスに感じなければ、きっと見る角度も変わるんだ。


どんな愛翔も可愛いと感じることが出来る。

その現状が幸せだと思えている。

それも、樹が教えてくれたこと。


「あーくん、泣かないでね。いってきます。」


最後に もう一度 声を掛けて、いつものように職場に向かった。


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