Doll‥ ~愛を知るとき
翌朝、樹が仕事に行ったことに気付かないくらい眠り込んでいた。
九時過ぎに目覚め、身支度を整えて洗濯機を回した。
朝食を食べ、洗濯が終わるのを待つ。
ピッピッピッと、洗濯終了のブザーが鳴った。
あたしはベランダに出て、洗濯物を干した。
小さな桜の木から、はらはらと花びらが散っている。
花の命は儚い。
直に、葉で覆われていく。
海から吹く風が潮の香りを運んで来た。
「おはよう。」
そんな声に振り向くと、隣のベランダから身を乗り出して大竹さんが微笑んでいた。