Doll‥ ~愛を知るとき

「あーくん、ダメ!」

思わず叫んでいた。
暴力的なその姿が浩也と被った。

子ども同士の喧嘩は、社会勉強のひとつ。
理解していても、とても悲しくなった。

わんわん泣き出した男の子を、愛翔は更に突き飛ばした。

「あーほ!」

そう言ってプリプリ怒って、頬を膨らませている。

「あーくん!」

あたしに気付いた愛翔は、まるで勝ち誇った顔で駆け寄ると

「ママ!あいちゅ、あほで!あーくんにアッチイケゆーたねん!あーくん、チバいたった!」

って言った。

『アイツ』とか『シバく』なんて言葉を、どこで覚えたんだろ‥。

「あーくん。お友だちを押したり蹴ったりしないの。」

《遺伝》

その二文字が脳裏を過ったとき、遣りきれない気持ちになった。


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