Doll‥ ~愛を知るとき

予定日は二月上旬だった。

あたしと同じ誕生月になるって喜んでいたけど、無理をして仕事を続けたせいかもしれない。

予定日の二週間前だった。
一月半ばを過ぎた頃、突然、破水した。

「オバサン、あたし、赤ちゃん産まれる。」

事情を説明して、オバサンにタクシーを呼んでもらった。

そして、予め用意していた入院セットを持って、あたしは家を出た。

「あーくん、ママね、赤ちゃん産まれるよ。」

状況が飲み込めていないんだ。
オバサンに手を引かれた愛翔は、キョトンとしていた。

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