Doll‥ ~愛を知るとき

「すみません、迷惑掛けちゃって。」

男の人に頭を下げながらも、立ち上がった愛翔に怪我が無いか確認した。

「大丈夫?愛翔。ごめんなさいしてね。」

愛翔は「だいじょうぶ」と答えたあと

「ごめんなさい。」

と、恥ずかしそうにペコリと頭を下げた。

「気にしないで。」

そう言いながら、上体を起こした男の人はニッコリ笑った。


── え?


その笑顔が信じられなくて、あたしは絶句した。

「やっぱ、愛翔くんだと思ったよ。」


── 樹‥


「うそ‥、なんで‥?」

目の前に樹がいる。

あたしのすきな声で話している。

「なんで?ねぇ、なんで ここにいるの?」

「愛波を思い出しに来た。そしたら、会えた。」

あの頃と変わらない綺麗な瞳が あたしを見つめている。

「愛波は?どうしてここに?」

樹は意地悪な笑みで訊いた。


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