Doll‥ ~愛を知るとき
「冷たい♪」
冷えた缶ジュースを持って、樹とふたりアパートに向かった。
前からカップルが歩いて来る。
女の人が あたしに気付いて手を振った。
「桜井さん、こんばんは。」
挨拶しなきゃいけない。
だけど、喋り慣れていないから咄嗟に声が出て来なかった。
あたしは、軽く会釈した。
大竹さんは、旦那さんと仲良く腕を組んでいた。
通りすぎ様、彼女は樹をじっと見ていた。
あたしも、無意識に樹に視線を遣って‥
「あれ?樹くん?」
大竹さんが発した言葉に、心臓がドクンと跳ねた。