Doll‥ ~愛を知るとき
「樹くんよね?」
大竹さんは、今度は確認するように訊いた。
あたしの目は、樹と大竹さんを交互に見ていた。
「ほら、奈保の弟くん。」
彼女は旦那さんに、そう説明したあと
「“桜井”って、まさかと思っていたけど‥。」
と、驚きの声を上げた。
そして
「奈保が心配してたよ~!行方が分からないって!連絡してあげてね。」
と、樹に言った。
「あ、はい。じゃ。」
作り笑顔を浮かべて、樹は短く返事をした。
そして、あたしの手を取り無言で歩き出した。