Doll‥ ~愛を知るとき


─ 樹の家族構成‥

  あたし、知らない‥


あたしが見ている樹とは違う彼が存在している。

そのことに気付いて、寂しくなった。


「樹、お姉さんいるの?」

問い掛けると、彼は無言で頷いた。

微かに空気の重さを感じて、そのあとは、あたしも黙って歩いた。


アパートに戻ってキッチンに立ち、買って来たジュースをグラスに入れ、ひとりで飲んだ。

和室に座っている樹は、ずっと難しい顔をしている。

「ねぇ‥、樹‥。」

その表情が哀しくて、あたしは後ろから彼に抱きついた。


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