年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「あ、スープ! グツグツ煮込んだオニオンスープあるよ~」


 由也くんはそれも美味しいと言って啜る。ただ切って炒めて煮ただけのスープ。沈黙がいたたまれなくて次から次へと料理を出した。唐揚げ、オムライス、ひじき煮。私の好物ばかり、最後なら由也くんの好物を沢山並べたかった。カツカツとスプーンや箸が食器に当たる音がやけに大きく感じる。


「あ、テレビつけてなかったね。なんだか静かだと思った~」


 私はそそくさと席を立ってテレビのスイッチを入れる。でも運よく流れてきたのは、結婚式場のCMだった。幸せいっぱいの花嫁がブーケを空に投げている。


「ははは~。綺麗だね。スレンダーな女の子なら絵になるねっ。やだ、私と比べないで」


「……」
「……」


 私はテレビのスイッチを切った。再び沈黙する。


「綾香さん」
「なあに?」
「僕はウェディングドレス、着せてあげられない」


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