年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「だからいいよ、いいよ~。どうせ似合わないからさあ」
「綾香さんっ!」
湿っぽくしたくないのもあった。明るく由也くんを送り出したいって。あっさり由也くんを諦めてる自分にも驚いた。きっとそれより自分を否定されるのが怖かったんだと思う。
「……分かってる、よ。そういう意味じゃないのはさ」
平民の娘じゃ、市民権も与えられないって否定された気がした。ポッチャリ系なのも由也くんより年上なのも一緒くたに否定されたって。由也くんには年下の何処ぞやの令嬢がお似合いだって。
「さっきのドレス、綾香さんなら絶対似合う……と思います」
「何よ、付け足したみたいに思いますってさ。似合わなかったときの逃げ道~?」
私は由也くんの平らげた空き皿を持ってキッチンに行こうとした。咄嗟に由也くんは私の手首をつかんだ。
「だから綾香さん……」
「あっ!」
その拍子に持っていた皿を離してしまい、皿が床に落ちて大きな音を立てて割れた。