年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 キーンとした硬質な音が頭に響く。いつもなら優しくフンワリ繋いでくれる手も今夜は強くて痛いくらいだった。その強さが私を求めてるみたいなのに、別れたいなんて可笑しくて。いっそのこと好きなコが出来たとか飽きたとか言えばいいのに言ってくれなくて、中途半端な優しさにムッと来た。腕をブンブンと振って由也くんの手を振り払う。


「だったら……」


 優しさは由也くんの長所だけど今は中途半端過ぎる。


「だ、だったら何なのよっ。いきなり別れてくださいって、いきなり副社長ですって!!」


 私は声を荒げてしまった。


「そんなこと突然言われたって分かんないよ!! 訳分かんない!!」
「……」
「あ……ごめん……」


 自分の声の大きさに自分で驚いて我に返る。由也くんを見たら、由也くんは私から目を逸らして床に散らばった皿のカケラを見つめた。別れるって本当なんだと思った。


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