年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 私は翌日、フラフラと出掛けた。生憎の空模様、梅雨入りらしい。行き先は鉄塔が見える橋、由也くんと初めてキスした場所。雨にもかかわらずたくさんのカップルがいた。仲良く並んで自撮りしたり相合い傘の中でキスしたり。私は一人でボンヤリと雨の滴る鉄塔を眺めていた。

 スーパーの通用口から突き飛ばされていた由也くん、初めて契約が取れたと連絡をくれた由也くん、ステーキランチを美味しそうに食べた由也くん。初めて出会ったときからの出来事を思い出していた。営業のコツを伝授したり、本を貸したり。話題作りに開店したばかりの本屋さんに行ったり、講演を聞きに行ったり。そんなデートまがいをするうちに惹かれて、ここで初めてキスをした。


「……」


 こんな事態になると誰が想像しただろう。この体の中に赤ちゃんがいる、由也くんと私の赤ちゃん。キミのパパとママはここで初めてキスしたんだよって、心の中で赤ちゃんに話し掛けた。パパはママが作った白玉が大好きで、日本酒は八海山が好きで。


「ははは、赤ちゃんに八海山って言っても分かんないかあ。あ、オレンジミルクティなら分かるかな」


 私は近くのコンビニに移動した。今はホット販売も終了してチルド商品にある。会計をして外に出てコンビニの軒先でストローを刺して飲んだ。パパは毎朝副社長室で飲んでるよって。

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