年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
やかんの脇には二つのマグ。勿論お揃いではないけど、寄り添うように並ぶのが当たり前になったマグ達。マグに意志は無いだろうけど引き離すのは勇気がいる。
「こ、これから……」
鎌谷は黙ってやかんの湯をマグに注ぐ。まるで私が何を言おうとしてるのか見透かしてるみたいに。
「朝、来れなくなるから」
鎌谷は黙って私にマグを差し出した。渡した後は再び背を向ける。
「い、忙しくなるんだ。担当のデパートが試験的に開店時間早めてさ、品だしに間に合わなくなるから……」
「ん、そっか。分かった」
「ご、ごめん。い、一緒に飲めなくて」
「気にするなボケ」
「うん……」