年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
私の顔を見ないのは嘘をついてるときや後ろめたいとき。黙り込んで後ろ姿しかみせない。馬鹿正直な鎌谷のことだから嘘をつくと顔に出る。後ろめたいときに喋ると虚勢が見え見えだから。
「カマ、本当にごめん」
私は俺様コーヒーに付き合わないことへ詫びたように見せ掛けて、本当のところは鎌谷の気持ちに応えられないことに詫びた。
「他に一緒に飲んでくれる人、探し……」
「いいって言ってんだろ」
「誰か他の」
「もう、いいんだよっ! ボケ!!」
「……」
私はいたたまれなくてマグを持ったまま給湯室を出ようとした。