年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「カ……」
話し掛けられない。だって私の話したいことは由也くんと綿菓子のことで、とても声を掛けられる状況じゃなかった。私は給湯室から離れ、営業部に戻った。
私は一人だ。孤独だ。そんなのは分かってた筈なのに今更ながら身に染みる。由也くんさえいてくれたらそれでいい、そう思ってやって来た。でもそれは絵に描いた餅なのかもしれない。
朝会の時間になり、皆が集まる。私もメモを手に席を立った。瞬間、眩しい光が瞼に当たり、私はビルの屋上から真っ逆さまに落ちるような錯覚に襲われた。
「長谷川?」
「はせが……」
屋上から誰かが呼んでるけど、落ちてしまった私には戻れない。私はすみませんと謝りながら落ちていくうちに何も考えられなくなった。