年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「僕はそこまで綾香さんを追い詰めてたんですね……」
「由也くんごめん」
「綾香さん謝らないで。綾香さんは悪くない、悪いのは僕だから」
「由也くんのせいじゃない。私がもっと強かったら……」


 苺大福は少し萎びていた。二人でそれをかじる。ほうじ茶を啜る。若干傷み始めた苺は食べてしまえば味は気にならなかった。


「……やっぱり無理だったんでしょうか」
「無……」


 由也くんが無理なんて言葉を使うのは初めてかもしれない。私は返事が出来なかった。もっと強ければ平気で由也くんのそばで生きていけたかもしれない。会社で倒れた今、それは無理だと知らしめられた。私にはそんな強さは持ち合わせてもいなくて、これから先、強くなる自信もない……。
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