しわくちゃになったら、会いに行きます。


 あたしが立ち止まると、お兄ちゃんはあたしの元に駆け寄ってきた。


 グラウンドの傍にある自販機で買って来たのか、水滴をつけたドリンクを手にしている。


 首からは黒と赤を基調としたタオルを下げていて、すでに運動をしていたんだろうと分かった。




 「楽しそうな目してるね、お兄ちゃん」




 スポーツウェアに身を包んでいるお兄ちゃんを見ると、彰太くんを連想して少し寂しく思う。


 彼も、生きていたら、こんな風に楽しそうにバスケットをするのかな。


 独りで揺れないゴール目掛けて走るなんてことは、せずに済んだんだろうか。




 「久しぶりに暴れまわってる気がするな。最近はチビっ子相手に教えてばかりだからさ」


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