しわくちゃになったら、会いに行きます。


 本当に見えないんだなぁ。


 眉尻を下げて申し訳なさそうに謝るお兄ちゃんと、苦笑混じりに肩を竦める彰太くんを見て、そう思う。


 あたしが見えるのは、奇跡なんだなぁ。


 彰太くんは近付く気はないらしく、その場から動こうとしない。


 遠くから手を振る彼に手を振り返して、あたしは再び歩き始めたお兄ちゃんの後を追った。


 体育館へ入ると、熱気に包み込まれる。


 お兄ちゃんが戻ったことで、後輩たちから声が上がった。


 お兄ちゃんが卒業して5、6年は経っているのに、みんなお兄ちゃんのことを知っているらしい。


 すごい人気なんだなぁ。


 兄妹のせいか感覚がマヒしているあたしは、改めてそれを実感した。


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