しわくちゃになったら、会いに行きます。
堀泉さんは、そう言ってはにかんだ。
そして、名刺をお兄ちゃんに差し出しながら言う。
「俺と率はここに勤務してる。何かあったら遠慮なく連絡しろよ」
お兄ちゃんの横に入り込み、名刺を覗き込む。
そこには大手の有名会社の名前が印字されていて、あたしとお兄ちゃんは同時に声を上げた。
「率のことを報告に来ただけだから、俺はこれで帰るよ。
ちなみに率は伊勢丘総合病院に居るから、暇な時に会いに行ってやれ」
車椅子で移動しながらお兄ちゃんにそう言って微笑む堀泉さん。
その姿は最初に見たときの凛とした表情そのもので、あたしは少し安心した。