しわくちゃになったら、会いに行きます。
白い煙を吐いて、お兄ちゃんはあたしの瞳を捕らえる。
あたしはうん、と頷いて、今朝の話をした。
道に迷って、男の子と知り合いになったこと。
男の子に、高校まで案内してもらったこと。
入学式の間、彼のことが頭から離れなかったこと。
「それでね」
お兄ちゃんは、なんとなく察したのか、生唾を呑んで話に聞き入っていた。
意を決して、最後の言葉を紡いだ。
「その人――嶋木彰太っていうの」