歪んだ愛しさ故に
早くして早くして……
顔を伏せ、とにかくバレないことを祈りながらレジが空くのを待っていた。
それなのに………
「………豊田、さん……?」
「……」
どうしてこの男は
こんなにも観察力があるのだろうか……。
というか気づけるの?
じっと顔を覗き込んで
あたしと目線を合わせると、最悪にも正しいその名前を呼んでしまった。
「か、上沢さん……。
お疲れ様です……」
こんなにも目が合って、無視するわけにもいかない。
仮にも会社の先輩だ。
おそらく引きつっているであろう顔で無理やり笑顔をつくり
ぺこりとお辞儀をした。