だから私は雨の日が好き。【花の章】





「カズ・・・何、ソレ・・・」


「お疲れ様、と、これからもよろしく、ってことで」


「・・・気障」


「なんとでも。これが俺のやり方だ」




そう言って、彼女の腕いっぱいの花束を渡す。

驚いた顔のまま彼女に見つめられると、なんだか居た堪れない気持ちになってフイと目線を逸らした。



実は、女性に花なんて送ったことがなくて。

買ったことがあるのは、母の日のカーネーションくらいなもんだ。

今まで付き合った女性たちに花を買う機会など訪れたこともなく。

何より、自分から進んで何かをプレゼントしよう、などと思ったことさえ定かではない。



それでも何故か。

この花を彼女に渡したいと想った。

ただ店頭に並ぶ姿が、凛とした彼女に良く似ていると想ったので思わず手に取ってしまっただけだったとしても。

渡さずにはいられない、と。

俺の中の何かが訴えかけていた。




「カズ・・・。なんで、この花?」


「・・・似てると想ったんだよ、水鳥に」




その言葉に、心底嬉しそうな顔をして花を見つめる彼女。

その顔に少しの蔭りが見えて、俺は小さく眉根を寄せた。

何か気に入らないことでもあったのか、と声を発しようと思った時。

彼女が真っ直ぐ俺へと視線を戻してきた。




「マーガレット、っていうのよ、この花」


「らしいな。店で見た」


「カズは花言葉なんて知らないでしょうけど、これを渡すなんて、やっぱり非道い人」




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