弟系男子が『弟』をやめた時。
…え、
思ったよりいいやつやん。
隣に座って黙々とホッチキスで閉じる眞樹原。
やり進めたら文句言ってくるだろうと
思っていたのに、何ひとついわない。
…マジで集中してんやーん。
珍しすぎて、思わずじーっと眞樹原の横顔を
見つめてしまっていた。
…てか、
まつげ、長。
思わずずいっと顔を近づけて見入る。
「まつげ、長いね。」
空気とか読む前に口から言葉が出ちゃうのが
ながさわゆのちゃま。
せっかく集中してる雰囲気を
ぶち壊してしまったみたいで。
ゴトッと音をたてて落ちたのは
眞樹原がさっき持っていたホッチキスだった。
「…っ、何みてんの。」
私の発言に振り返った眞樹原は
私の顔が思ったより近くで驚いたみたいだ。
「驚きすぎじゃない?声裏返っとるがな」
予想以上の反応に私のほうがびっくりする。
指摘したら、眞樹原は少し顔を歪めて
ふいと顔を逸らした。