弟系男子が『弟』をやめた時。




「…永澤の顔が醜すぎて焦っただけ。」


そう言いながら

落としたホッチキスを拾う眞樹原。



さっきいいやつやと思ったのがバカでした。





「誰が醜いねん」


きしゃー、と怒りのポーズ付きで威嚇する。




「醜いわ。近寄んな死ね。」


眞樹原はその威嚇さえも見ずに、

私に背を向けて座り直して言った。






「えやばいガラスのハートが」



さすがに近寄んな死ねは泣きそう。

てか顔背けるほど醜いの。

口臭がだめだったの。




「え、ちょっと顔くらいこっち向けて」




「いや。


…マジでいや。」

 

眞樹原ははぁ、と溜め息をついて顔を覆う。







さすがに苛ついたので

眞樹原が顔を覆ってる隙に正面に回る。




手にぐっと力をいれて、

覆っていた眞樹原の手を引き剥がした。







「そこまでキモがられたら苛つ…」




「…」






「「…」」









思わず、言葉に詰まる。








眞樹原の顔が赤く染まっていたから。





ぽかんとアホみたいに口をあけていると

眞樹原はみるみるうちに赤い顔を歪める。



眞樹原の手首を持っていた私の手を一瞥すると

べしっと乱暴に振り払った。



私がえ、あ、え、とかなっていると


眞樹原は溜め息をついてうなだれた。












< 62 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop