嫉妬する唇
吐息のように吐かれた言葉の返事を聞こうともせず、溢れ落ちたあたしの涙を掬うように頬に押し付けられたアイツの唇。




柔らかくて暖かいその感触に思わず目を瞑ってしまう。





「もう、我慢してやんない」





その言葉が耳に届いたのと同時にグッと腰が引き寄せられて、その直後、強引なその行動とは裏腹に優しいキスが唇に落とされた。




唇が触れた瞬間、ビリっと身体に痺れが走る。


その後に、心臓の辺りがギューっと締め付けられるような感覚に襲われる。







欲しいものを与えられた充足感と、こんなキス知らないという恐怖心とが混じり合う。



でも………気持ちいい。




唇からアイツの熱が伝わる毎にあたしを欲してるって思えるから。


あたしもそれに応えるようにアイツの唇に自分の熱をのせる。





この瞬間があるなら後はなにも要らないなんて、刹那的なことも思ってしまうほどあたしはアイツの唇に溺れる。

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