嫉妬する唇
ここから………アイツから少し離れて冷静な自分を取り戻したい。





「こんな所で盛ってんじゃないわよ」




顔も見ず立ち上がり、アイツの前を通りすぎようとした瞬間


グイっと腕を捕まれた。




グラリと揺れる視界の端で、カチャリと鍵が閉まる金属音がする。



背中に冷たい感触と、少しの衝撃を感じた時には、あたしの身体はアイツの腕に閉じ込められてた。




「顔、合わせないとか……どういうつもり?」



わずか数センチ先にあるアイツの顔。



フワリと香水の匂い。



アイツの匂いじゃない。





「彼女が待ってるんじゃないの?早く行きなさいよ」


「どこの誰だか分からねぇヤツの事なんて待ってねぇよ」



「はっ?」


「便所から出たら急に見ず知らずの女に襲われたのオレ」





彼女じゃないんだ。とアイツの言葉に安堵する一方で、未だアイツから香るその香りで、わずか数分前まで他の女と濃厚なキスしてたって事が嘘じゃなかったって主張する。




じゃあ、誰か分からない女にでも、あんな濃厚なキスができるってこと?




キッと睨み付けるようにアイツの顔を見上げる
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