嫉妬する唇
「キス、したくなった?」
さっきよりもさらに近づいた顔。
ブンブンと頭を振ることしかできない。
あぁ、説得力ない。
「ふーん。
ねぇこの努力は、誰のため?男欲しいの? 」
完璧に仕上がったカールの毛先をクルクルと指に巻き付けて弄ぶアイツ。
「そ、そんなわけないでしょ」
パシンとその手を払い除ける。
だって、仮にもさっき気付いたばかりとはいえ、好きな男に『男が欲しいの?』なんて言われたくない。
もう嫌だ………
瞼の奥が熱い。
泣いちゃダメだ。
泣いたらバレちゃう。
そしたら、『幼馴染み』って関係さえも失ってしまう。
唇をギュッと噛み締めて、堪える。
「ゴメン。言い過ぎた」
なのに、アイツはあっけなく自分の非を認めて、あたしの頭を優しく撫で始めた。
今のあたしにそれは、ズルい。
せっかく堪えていたのに………限界。