クレナイの歌
そう口を開こうとして、止めた。
夕空を見つめる彼の横顔が、あまりにも寂しげに映ったから。
ふーん。
うん。
そう。
ただそれだけで、この日の会話は途絶えていった。
なんなのよ、あの岸辺って男。
名前……苗字だけだけど覚えちゃったじゃない。
クラスメイトに限らず人の名前を覚える気などさらさら無かった。
覚えたとしても担任の教師くらいだろう。
岸辺と関わることで自分のペースが乱されていっているということを、彼女は感じていた。