クレナイの歌
「どうした?」
「……パン買ってくんの忘れた」
「ははっどんまい。購買行ってらっしゃい」
ケラケラと笑い、目の前で焼きそばパンを口にするのは岸辺によく話しかけてくるあの友人だ。
「行ってくる」
必要な分だけ金を用意し、購買へ向かった。
普段よりも混雑していない。売れ残りのパンの数も少なかった。
どれを買おうかと悩むことすら出来ない数だ。
余っていたのは小さな袋詰めされたパンだけ。
腑に落ちないが仕方なくそれを購入する。
パンを片手に、ふと窓の外を眺めた時だった。
見覚えのある姿が彼の瞳に飛び込んだ。
この季節に外へ出ようと、普通ならするはずがないのに。
そんな中に、彼女はいた。