クレナイの歌

あくまでも平静を装う。朱里はいつもと変わらぬ坦々とした口調で岸辺に尋ねた。

「で、何よ。…今日もまたくるの?」

日常的に訪れていた彼。答えはもちろんイエスだと、そう思っていた。


「…今日用事あるから無理」

でも返ってきたのは思いがけない一言だ。


いつも暇そうなあんたが……?


岸辺の瞳は今まで見たことのない切なげな色をを映していた。
朱里は言葉を詰まらせる。

「そう……」



『なんで私がこんなに彼に感情を振り回されてしまっているんだろう』

ただそれは、ムカつく。

寒い風は二人の間を吹き抜けた。



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