クレナイの歌
***


そして数日が経った日、岸辺は放課後朱里の家を訪ねることになった。

先生に頼まれての事でもあったし、それを承知したのも彼自身だ。

渡された簡単な地図を頼りに、見つけたのは少し古めかしい2階建てのアパートだった。

ポストにはうっすらと彼女の苗字が刻まれている。

岸辺は初めて彼女の苗字をしっかり覚えた。

錆びかけた鉄の階段を上り、少し手前のドアの前に立つ。

部屋番号を確認し、1つ深呼吸をしてからゆっくりとノックをしてみた。

だがなんの反応も無い。

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