クレナイの歌
……留守、か?
再びノックをする。
「あ、秋山さーん…」
呼びかけてみる。それでも物音ひとつ聞こえない。
諦め、その場を去ろうと背を向けた瞬間、ガチャリとドアの開く音が背後で響いた。
「……何か…用ですか?」
小さくて聞き取りづらい声。
所々に白髪の生えた髪を1つに束ねている女が、岸辺の前に現れた。
見たところ四十代後半くらいだろうか。
目は虚ろで、かなり酒臭い。
その容姿では、実年齢よりも老けて見られることがきっと多いだろう。
それほどまでに疲れきった様子の女は、面倒臭そうにため息をついた。