クレナイの歌
紅葉に教えてもらった歌と、この場所だけが最後の約束だった。
でもいくら待っても紅葉が来ることはなくて…。
「それで……一昨日電話があったのよ。紅葉のお母さんから」
脱力した朱里の言葉を一言一言聞き逃さずに岸辺はただ頷く。
「私その日……会いに行った……電車に乗って」
朱里の肩が微かに震える。
「会いにっ……行ってっ……」
『元々心臓が悪かったのよ……毎日連絡をくれていたのに、ごめんなさいね。朱里ちゃん……』
紅葉のお母さんは申し訳なさそうに、私にそう言った。
今にも泣き出しそうな表情で。