クレナイの歌

弟の持っていたコレクションカードらしき物が風に飛ばされて、それが偶然線路側に行って、それだけに夢中だった弟はいきなり走り出したんだ。


瞬間に起こった出来事。


反射的に離れた弟の手を握ろうとした。

でも、その時既に彼の姿はもうなかったんだ。


聞こえたのは電車の過ぎ去る強風のゴウッという大きな音と人々の叫び声。
すぐにわかった。

弟が事故にあったのだと。


「震えが止まらなかったね。それ以来踏切は苦手だし……両親の俺に対する接し方も変わった。冷たくなったんだ。一気に……冷たくなった」

岸辺はゆっくりと息を吐き、遠くを見つめた。




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