クレナイの歌
「……」

冷たい風がふっと頬を撫でた。
日が沈みかけ、もうすぐ迎える夕暮れの空を遠巻きに眺める。

気持ちが晴れない。
心だけがまるで曇天のようだ。


このままでいいのか……?




「……母さんごめん。ちょっと行ってくる」

母親の言葉を無視し、岸辺は走り出した。

中途半端すぎて、何かが嫌だ。
やっぱり心残りになる。

もしかしたら居るんじゃないだろうか。
今も彼女があの場所に。

息を切らし、彼は走った。



< 63 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop