モン・トレゾール

『俺のこと好き?』


彼にそう訊かれる度に思うことがある。


こんなに好きって気持ちで溢れてるのに、どうして彼は何度もそう訊くのかなぁって。


それに、私だって。毎日のようにそれを確かめたい。


好きとか愛してるとかだけじゃない。


自分が嫌なこととかショックだったこととかも、どんなことでも本音で話せる夫婦になりたい。


だけど、まだまだそれが出来ていない気がする。


それに、私に過去があるように、彼にだって当然付き合ってた人だっていたわけで。


あまり自分のことを話したがらない彼を、時々妙に勘繰りたくなってしまう。


それは独占欲に近いものなのかもしれないけど。


彼の優しさや強さみたいなイイ部分だけじゃなくて、格好悪さや情けない姿も全て私にだけは見せて欲しい。


彼の全てを自分のモノにしたいなんて思っちゃう私は、やっぱり重たい女になってるのかもしれない。



「――きゃっ!」


ドクンと大きく心臓がはねると、ころんと上下が入れ替わるように自分の身体が転がった。


「お、さむ?」


彼の鼓動と調和するように眠りの体勢へと入った私の視界に飛び込んだのは、不機嫌な様子の彼の姿だった。
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