モン・トレゾール

どうしよう、やっぱり怒ってる?


この部屋の暗さにも目が慣れてきたから分かるけど、上から見下ろす彼の顔が今はとても怖い。


彼を抱き締めていた腕も、いつの間にか枕の上でひとつにされぎゅっと押さえつけられていた。


「……お、起しちゃった?」


まさかこんな状況で寝込みを襲うとしてましたなんて言えるはずもなくて、どうにかこの場をやり過ごそうと必死だった。


「ねぇ、腕……少し痛い」


そんな訴えも耳に入っているのか分からないくらい、今の彼は少し……いや、かなり不機嫌そうに見える。


寝起きが良くない、それは毎朝のように感じている。


私も朝は強い方じゃないから、お互い口数は少ないんだけど。


寝起きの状態の時だけは私が話しかけても、おはよう以外は口を開かないことが多かった。




深夜の寝室――ベッドの中で腕を掴まれ組み敷かれる私と彼のこの絵は、見る人から見ればそういうシーンだと思う。


だけど、彼の視線の先が紐を外して開きっぱなしだった私の胸元にあることに気づいてしまって。


――今の私は、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。
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