モン・トレゾール

刺(さ)すような視線に身体が硬直してしまう。


「……こ、これは違うの! あ、暑くて……そう! 少し暑くてこんな格好しちゃってるだけなの」


無言のままの彼に耐えきれなくなった私は、次から次と言い訳じみた言葉を続けていた。


「――お、理?」


そりゃあ口からでまかせみたいなもんだけど。


こんなに一生懸命説明しているのに、この威圧感はなんなんだろう。


「だから?」


「……え?」


「だからなに?」


一瞬で冷たくなる部屋の空気。


ある程度の言い訳を言い終えた私に彼から返ってきたのは、だからなに? のたった一言だった。


「――この手、離して」


そもそも元を辿れば、この人があんな声を出すからいけないのに。


心の中でそう感じると、彼の不機嫌さに負けないようにジロリと睨み返した。


わけが分からない彼の態度に、こっちの方がムッとしてしまう。


確かに、ぐっすり眠っていた彼を起こしちゃったのは私が悪い。


私はただ、今夜だけは自分から彼に抱いて欲しいって思っただけなのに。


こんな風に拗ねたくなる気持ちも分かって欲しかった。
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