モン・トレゾール
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「梅干し、要らない」
「ダメ! 絶対そう言うと思ったから卵粥にしたんだから、きちんと全部食べて」
彼の嫌いな食べ物のひとつであるこの梅干しは、細かくしてパスタソースにしようと思って買い置きしていたものだったんだけど。
どうやらニオイそのものがダメだったらしく、どうにか形状を変えて食べさせようと思った私の目論見(もくろみ)が外れて暫く冷蔵庫の中で眠っていたもの。
日持ちするからと思って取っておいて良かった。
……今日こそは絶対食べさせるんだから。
「……こんなの食い物じゃねぇだろ」
あからさまに顔を顰める彼は、普段の姿からは想像出来ないほどに……可愛い。
「ごちゃごちゃ言わないで食べるの!」
そう感じると、つい顔がニヤけてきそうになる。
「――パス」
大嫌いなニオイから逃げるようにパサッと布団に頭を隠す彼の姿に、思わずクスッと笑いが零れてしまった。