モン・トレゾール

「――悪いかよ」


絶対否定すると思ったのに、開き直ったかのような戸田さんの態度にちょっとだけ面喰ってしまった。


「おまえだって知りたいだろ? 旦那のこと」


そりゃ知りたいけど。


「その話、本当だって言えるの?」


この人は嘘が上手い。


散々騙されてきたんだから、きちんと確認しておかないと。


「……ったく、せっかくタダで教えてやろうと思ってんのに疑いやがって。

――本当だよ、社長と大学が一緒だったって言う高城(たかぎ)さんから聞いたんだから」


「高城さんって……あの本社の営業室、室長の高城さん!?」


私の知ってる高城さんと言ったら、初対面でいきなりキスしてくるくらい軽い男で、見た目はいいのに少しお喋りで今や二歳の男の子のパパなんてしちゃってるあの高城さんだけど。


「そう、その人だよ」


戸田さんから返ってきた言葉に、私はガックリと肩を落とした。


昔から人は悪くないんだけど、どうして高城さんってこうも口が軽いんだろう。
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