モン・トレゾール

「それで? 行くのか、行かないのか?」


高城さんと理は大学の同級生だけど、話のでどころが神山さんじゃなくて高城さんってとこが怪しい気がする。


でも、神山さんだと口が堅そうだから高城さんに何でもベラベラと話してるイメージが湧かないんだけど。


「――お昼なら」


「だから、昼は無理だって言ってるだろ」


「……そんな即答しなくても」


確かにお昼にあのお店に行ったって、梨花さんには会えないわよね?


「いいだろ、仕事帰りの一時間くらいだけなら。どうせ社長も記念パーティーの打ち合わせで遅くなるんだろうし」


「え、そうなの!?」


……そんなの聞いてないわよ。


「オマエ、そんなことも知らねぇの? 仮にも夫婦じゃねぇのかよ」


「か、仮にもって……本当の夫婦よ、失礼ね」


拗ねたように戸田さんから視線を逸らすと、今朝のことが頭に浮かんだ。


口ではそう言いつつも、本音は少しショックだったりする。


妻である私が知らなくて、赤の他人の方が彼のことを知っていることに少しだけズキンと胸が痛んだ。


もしかしたら、パーティーに出なくていいなんて言ってきたことも、本当は周りに私を紹介したくないからなのかも。


そんなネガティブな考えに陥ってしまいそうになる。
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