モン・トレゾール

またしても修羅場と化す私達の周りに、ゾロゾロと人が集まってくる。


この恋愛劇に全く関係ないのに、なぜか自分がこの場にキャスティングされていることに凄まじい違和感を感じていた。


梨花さんは完全に私を敵視してるし、戸田さんはだんまりで助けてくれそうにないしで一体どうすればいいのか分からない。


いや、ここはやっぱり私から言おう。


『彼女じゃありません』って、一言(ひとこと)言えば済む話だもんね。


そう心に決めたものの、いざ梨花さんの顔を見ると恐ろしくて直視できなくなる。


……あぁーもう! こんなことになるなら、ドリンクの一杯でも頼んでおけばよかった。


「全く、バカにされたものだわ」


絶対そんなこと1ミリグラムだって思ってないはずなのに。


梨花さんは究極に不機嫌は様子で私に向かってそう吐き捨てた。


「話したくないんでしょ? 私と」


「違う、そうじゃなくて……」


ど、どうしよう。なんか梨花さん、ますます怒ってない?




「遼、アナタ。付き合う女は選んだ方がいいわよ」


「……ちょっ、それどういう意味よ」


この女! 人が大人しくしてればズケズケと。


――どうして私がここまで言われなきゃいけないのよ。
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