【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)

「…棚藤常務。
申し訳ありませんが…私は…。」

そう口を開いた私に

「…わかってるよ。
どうせ『俺とは付き合えない』って
断るんでしょ?」

再び棚藤常務はクスッと笑った

「…俺ね、わかってるんだよ。
美紅ちゃんは俺よりも
藍原専務を好きなんだって事をね…。」

「……!!」

私は目を見開いた。

どうしてそれを!!

驚きで声が出ない私に

「…やっぱり図星なんだね。
わかるんだよ…。
美紅ちゃんは藍原専務に対して
恋する乙女の顔になっている時が
あるからね。」

「……。」

「…ますます綺麗になっていくし
その唇だって、日々艶々して
エロ甘そうになっているし…。」

「…エ…エロ甘そう!?」

その言葉に驚くと

「…自覚せずに煽ってるなんて
美紅ちゃんは罪な女性だね?
そんなグロスで艶々した唇を見る度に
俺は本気で君とキスしたくて
君を欲しくて堪らなくなるのに…。
…どうして、君は
俺を好きになってはくれないの?」

そう言って常務は

また一歩私に近づいてきた。

反射的に一歩下がるものの

私はいつの間にか

壁際まで追い詰められていた。
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