【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)

藍原専務は私を引っ張ったまま

普段誰も利用しない会議室に入ると

内側から鍵をかけた。

“ガチャン”と荒い音が

静かな部屋に響くと共に

「…わっ……キャッ。」

私は両肩を掴まれて

背中を壁に押し付けられた。

私は彼に見下ろされ

睨みつけるような鋭い視線で

逸らす事すら出来ない状態になった。

棚藤常務にされた事と同じような光景。

でも、恐怖感より

ドキドキと戸惑いが全身を包んだ。

さっき専務が

棚藤常務に言い放った言葉の意味と

なぜこんな事をされているのか

私は正直わからなかった。

それにこんな密室で2人きりって…。

鍵はかかっていても

もし誰かに見られたら私達…。

「…藍原…専。」

そう口を開きかけた時


「…水越美紅。」


彼が低い声で私の名前を呼んだ。

そしてすぐに片方の手を

私の肩から離すと

その手で私の顎を掴んだ。

私はそのまま上を向かされて

彼の瞳に捉えられた。

「……!?」

こんな事をされている理由が

私にはわからない。

ますます戸惑う私に

「…美紅…もう限界だ。」

彼が呟くように口を開いた。






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