淋しいお月様
次の日。

夜8時。

MUJIC JOYの時間。

私は仕事を早めに抜けて、家へ帰るなりテレビをつけた。

ミュージシャンしてるセイゴさんを見るのは、ユアさんにライブに連れて行ってもらって以来だ。

ましてや、セイゴさんがテレビに出てるのを見るなんて、初めてのこと。

私のセイゴさんじゃなくて、みんなのタクミだというところを、正直、あんまり見たくはなかったんだけど。

でも、久しぶりに彼を姿を見られるのは、例えテレビを通してでも嬉しいことだった。

実家の母親には、セイゴさんに言われた通り、この番組を見るように伝えてあった。

お母さんも、訝しがっていたけれど、とりあえず見てくれるとは云ってくれた。

セイゴさんは、一体何を思っているのだろう。

一緒にいた時でさえ、自分の映像を見せてくれたことはない。

歌ってくれたこともあるけれど、それは全部他人のコピーだ。

それが、いきなり生放送を見てくれ、だなんて……。

私は8時きっかりにテレビをつけた。

初めに出てきたのは、女の子3人組のアイドルユニットだ。

名前は知らない。私はよっぽど普段、テレビを見ないのだろうということが、自分でも解った。

今回の番組で出るのは、5組のアーティストらしかった。

次に出たのは、男のひとふたり組みのミュージシャン。

どうやら、セイゴさんの出番は、一番最後らしかった。
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