お姉ちゃんの憂鬱
「じゃ、課題がんばれよー」
「また明日なー」
「かなちゃん、部活いこー」
「誠、これまとめたら行くから先行ってて!」
「えー…」
「あんた遅れるとめっちゃ怒られるんだから、嫌とはいうなよ」
「はぁーい」
と、授業も掃除も終わった教室でなんやかんややっていたら、いつの間にか教室には課題と向き合う直くんとあたしの二人だけになっていた。
「直くん、課題終わりそ?」
「電子辞書を忘れた僕には敵しかいません」
「…あたしの貸してあげるから、なんとか終わらせなよー?」
「さすがお姉ちゃん。ありがとうございます。助かります。」
「どういたしまして。さっさとやって出してきなよ。ただでさえ危ないんだから。」
直くんの机の前のイスに座り、プリントを覗き込む。
先週だされていたはずのプリントは4分の1程度しか埋まっていない。
「直くん、家でいつもなにしてんのさ」
「本を読んだり猫と遊んだりですかね。」
「あ、にゃんこ飼ってるんだっけ?」
「はい、見ますか?こっちがサンマでこの黒い方がカツオです。」
「…猫に魚の名前つけてるんだね」
「どちらも僕の好物です」
その感性は謎過ぎる。
「お姉ちゃんは部活行かなくていいんですか?」
「んー、そろそろ行くよ。じゃ、直くんは課題がんばってね。」
「はい、見事きれいさっぱり終わらせてやりますよ。」
最後に直くんの頭をなでなでする。
直くんの頭は誠みたいに染めたり脱色したりしていない分、元のサラサラ感が損なわれていないから撫で心地がいい。
誠にいうと怒るから言わないけど。
がらっ
直くんに癒されていると、急に開いた教室のドア。
…かかったな。